「下の階から足音の苦情が来た」——このとき最初に買うべきは防音カーテンでも壁材でもなく、床に敷くものです。理由はシンプルで、足音は空気ではなく床の構造を振動として伝わるからです。
なぜ足音だけ特別なのか
音には2種類あります。
- 空気伝搬音:話し声、テレビ、車の音。空気を伝わる。カーテンや隙間対策が効く。
- 固体伝搬音:足音、椅子を引く音、物を落とす音。床や壁の構造を伝わる。空気側の対策はほぼ効かない。
苦情の大半は後者です。だから対策も「振動を床に伝えない」一点に絞ります。
厚みで結果が変わる
同じ「防音マット」でも、厚み10mmと20mmでは体感が別物です。低い音(ドスンという足音)を吸収するには質量と厚みが必要で、薄いマットは高い音しか止められません。
目安は20mm以上。 予算が許すなら、20mmマットの上にラグを重ねると、さらに角が取れます。
選択肢1:ジョイントマット(コスパ最強)
高密度ジョイントマット(厚さ20mm以上)
相場:4,000〜9,000円 / 6畳分 / 総合 ★★★★★ 4.3
床に敷くだけ。階下への足音・物音を減らす、賃貸の防音の第一手。
こんな人に:下の階から足音を指摘された人/子ども・ペットがいる家庭
良いところ
- 敷くだけで工事不要
- 原状回復が容易
- 断熱・冷え対策にもなる
注意したいところ
- 厚みがある分ドアが擦れることがある
- 安い10mm厚は防音効果が落ちる
必要枚数は「畳数 × 8枚(60cm角の場合)」でおおよそ足ります。買う前に、部屋のドアの下の隙間を測ってください。20mm厚を敷くとドアが擦れる部屋があります。擦れる場合は、ドアの可動範囲だけマットを敷かない、という逃げ方が現実的です。
選択肢2:防音カーペット(見た目を落としたくない人)
防音カーペット(遮音等級 LL-40相当)
相場:6,000〜15,000円 / 6畳 / 総合 ★★★★★ 3.7
ジョイントマットより見た目がよく、面で音を吸う。リビング向き。
こんな人に:見た目を落としたくない/リビングをまるごと対策したい人
良いところ
- 部屋の印象を損なわない
- 吸音で室内の反響も減る
注意したいところ
- ジョイントマットより高い
- 洗いにくいサイズが多い
パッケージの「LL-40」「ΔLL(I)-4」といった表記が遮音性能の指標です。数字が小さいほど(LLの場合)遮音性が高いと覚えてください。表記のない製品は性能が測定されていないことが多いので、価格が同じなら表記のあるものを選ぶのが無難です。
敷く範囲は「動線」で決める
部屋全面に敷く必要はありません。効くのは人が歩く場所です。
- ベッドから部屋の出入口までのライン
- デスクの椅子の下(キャスターの音は意外と響く)
- キッチンの立ち位置
この3か所を優先すれば、6畳分を買わなくても苦情の原因の大半をカバーできます。
洗濯機・冷蔵庫も同じ理屈
床を伝う振動という意味では、家電も足音と同じです。特に脱水時の洗濯機は、深夜だと確実に階下へ届きます。
洗濯機用 防振ゴムマット
相場:2,000〜4,000円 / 総合 ★★★★★ 4
洗濯機・冷蔵庫の振動が床を伝わるのを止める。夜洗濯する人の必需品。
こんな人に:夜や早朝に洗濯機を回す必要がある人
良いところ
- 設置5分
- 振動由来の低音に効く
- 転倒防止にもなる
注意したいところ
- 洗濯機の持ち上げに2人必要な場合がある
設置は洗濯機を持ち上げる必要があるので、2人がかりを想定してください。防振ゴムを4隅に入れるタイプは1人でも作業できます。
それでも苦情が続く場合
マットを敷いたのに指摘が続くなら、原因が足音ではない可能性があります。ドアの開閉音、水回りの排水音、テレビの低音などは、床対策では止まりません。何時ごろ、どんな音として聞こえるのかを具体的に確認するのが近道です。
音の種類ごとの対策は賃貸でできる防音対策12選に一覧でまとめています。逆に自分が苦情を出す側の立場なら、生活音で苦情を出さないための時間帯と対策も参考にしてください。